題名 「日本一のクレーマー地帯で働く日本一の支配人」
著者 三輪 康子
発行 ダイヤモンド社 税別1429円
本屋さんで見つけました。
題名が刺激的だったのと、著者が私と同じ性の三輪
「ひょっとしたら親戚?」と、手に取り目次を見て即購入しました。
著者は新宿歌舞伎町にある有名ホテルグループ(東横イン)に勤める現役支配人
グループ内の売り上げ過去何度も日本一になる。
東洋一の繁華街・歌舞伎町のどまんなか、土地柄日本一のクレーマー地帯で先頭に立って部下を守りながら、モンスタークレーマーを体当たりで受け止め、次々ファンに変えた伝説の名物支配人
ホテル業界未経験ながら、着任当初、ヤクザ、売春婦、薬物密売業者などが徘徊していたホテルを粘り強い交渉と人情で、安全で清潔なホテルに生まれかわらせた。
その功績が認められ、地元・新宿警察署から「歌舞伎町のジャンヌダルク」と尊敬を込めて呼ばれる。
以上著者紹介の抜粋です。
残念ながら、私の親戚でも知り合いでもない方でした。
青森県八戸の出身で、地元の為に身を粉にして働く開業医の父親の背中を見て育ち、いつか人の役に立ちたいと心に決めていた方です。
著者の三輪さんと私は業種は違いますが、同じクレーム業界にいます。
程度の差はあれ理不尽なクレームを付けられ、怒鳴られることはしょっちゅうありました。
彼女は何度もヤクザに凄まれたようですし、私もヤクザの事務所に滞納家賃の集金に行った経験があります。
彼女と違って私は凄まれませんでしたが、行って初めてヤクザの事務所だと気が付いた次第でした。
20万円の滞納金を何回かに分けて集金し、結果1円残らず回収しました。
集金最後の日、組長(3ヶ月後に逮捕されたと新聞に出ていた)に、「おまえヤクザの取り立てよりもきびしいな、よかったらこっち来ないか」と、あやうくスカウトされそうになりました。
前に勤めていた不動産会社での事です。
私のポジションは、責任はあっても権限が無い店長でした。
クレームは私が一手に引き受けていました。
で、私より上にクレームが行かないように、全て処理していきました。
ヤクザから集金した件とか、色々なクレームについては結果だけ報告していましたから、多分、上司は私の苦労を知らないと思います。
著者の三輪さんも、どんなクレームでも立ち向かう自分に、「わたしって=俺ってかっこいい?」と自分で自分を誉めていたからです。
本の帯にこういう文面があります。
「怒鳴られたら、やさしさを一つでも多く返すんです!」
おろおろしたり、逆に切れたりしてはいけません。
「やさしさは怒鳴り声よりも強いものだ。正しいことは貫かれなければならない」
という信念が彼女を支えていたとありました。
鳥肌が立つほど全く私と同じ考えです。
同士を見つけたりと、この本を読みながら何度も「そうだそうだ」と頷いたり、涙したり一気に読み終えました。
私はクレーム対応は男の持ち場だと思っていましたが、この本を読んで「男も女も関係ない」と考えを改めました。
「信念」さえあれば、どんなクレーム、どんな仕事もこなしていけると確信した不動産職人でした。